暗号資産の取得費を総平均法で計算する方法と確定申告の手順

- 総平均法は、1年間の購入金額合計を購入数量合計で割って平均単価を出す方法。
- 届出を出していない個人は、総平均法が自動で適用される(法定評価方法)。
- 国税庁は「暗号資産の計算書(総平均法用)」のExcel様式を公表している。
- 評価方法の届出は、翌年の確定申告期限までに税務署へ提出する。
- 一度選んだ計算方法は、原則3年間は変更できない。
暗号資産 取得費 計算 総平均法の結論

総平均法とは、1年間に買った暗号資産の購入金額をぜんぶ合計し、その期間に買った数量の合計で割って1単位あたりの平均単価を出す計算方法です。
私は毎年、自分の暗号資産の確定申告を自力でやっています。最初に迷ったのが、まさにこの取得費の計算方法でした。
結論から言うと、届出を出していない個人は総平均法になります。国税庁の案内でも、届出がない場合は総平均法が法定評価方法として扱われると示されています。
具体的な数字で見ます。Coincheckのよくある質問には、2,000,000円と1,600,000円で合計3,600,000円を、4BTCと2BTCで合計6BTCで割り、600,000円/BTCとする例が載っています。
国税庁の計算書(総平均法用)
国税庁は、暗号資産の所得計算用に「暗号資産の計算書(総平均法用)」というExcel様式を公表しています。

この様式は、暗号資産交換業者から送られてくる年間取引報告書を使って計算する場面に対応しています。手で全部の取引を拾わなくても、報告書の数字を転記すれば計算できる作りです。
国税庁の案内では、年間取引報告書を使って計算する場合は「総平均法用」を使うよう示されています。この資料は令和7年12月版として公開されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 購入等の数量 | その年に取得した暗号資産の数量 |
| 総平均単価 | 購入金額の合計÷購入数量の合計 |
| 売却原価 | 売った分に対応する取得費 |
| 年末残高 | 年末に残っている暗号資産の評価額 |
| 翌年繰越 | 翌年へ持ち越す数量・金額 |
正直に言うと、最初はこの様式を見ても「どこに何を入れるんだ」と戸惑いました。でも、列の意味さえ分かれば年間取引報告書の数字を写すだけです。
届出と費用について
総平均法そのものを使うのに、特別な費用はかかりません。国税庁の計算書も無料で公開されています。

費用というより、まず確認すべきは届出です。総平均法と移動平均法のどちらを使うかは届出が必要で、届出がなければ総平均法になります。
届出のタイミングも決まっています。評価方法の届出は、翌年の確定申告期限までに税務署長へ提出する扱いです。
確定申告が必要になるライン

会社員の副業として暗号資産取引をしている場合、給与所得者の要件に該当すると、20万円超の利益があれば確定申告が必要です。
暗号資産の利益は、原則として雑所得に区分されます。給与とは別枠で計算する所得です。
私の周りでも「利益が20万円を少し超えていたのに申告し忘れた」というつまずきを聞きます。総平均法で計算した結果がいくらになるか、年明けに一度ざっと出しておくと安心です。
計算例
総平均法の計算は、1年間の購入金額合計を購入数量合計で割るだけです。

前述のCoincheckの例をもう一度使います。1回目に2,000,000円で4BTC、2回目に1,600,000円で2BTCを買ったとします。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 1回目の購入 | 2,000,000円で4BTC |
| 2回目の購入 | 1,600,000円で2BTC |
| 購入金額合計 | 3,600,000円 |
| 購入数量合計 | 6BTC |
| 総平均単価 | 600,000円/BTC |
この600,000円/BTCが、その年の1BTCあたりの取得費になります。売ったときは、この単価を使って売却原価を計算します。
国税庁の様式ファイルでも、総平均単価や売却原価を計算するためのExcel計算書が提供されています。手計算が不安なら、この様式に沿って入れていくのが確実です。
納税猶予・分割の前に
税額を計算するより前に、まず取得費を総平均法で正しく出すことが土台になります。

取得費を間違えると、利益の額がずれて、結果的に納める税額もずれます。総平均単価の計算が雑だと、後から修正する手間が一番つらいです。
私自身、初年度は売却原価の計算であやふやになり、国税庁の計算書を最初から入れ直しました。最初に様式どおり丁寧にやるのが、結局いちばん早い道でした。
関連する考え方

総平均法を理解するうえで、対になる移動平均法も知っておくと選びやすくなります。
移動平均法は、暗号資産を買い増すたびに、その時点までの平均単価を計算し直す方法です。取引のたびに単価が動くので、損益が取引ごとに見えやすいのが特徴です。
一方の総平均法は、1年分をまとめて1つの単価にします。計算は楽ですが、年末にまとめて出すまで損益が分かりにくい、という違いがあります。
サイトマップ(関連コンテンツ)
この記事は、暗号資産の取得費を総平均法で計算する方法に絞っています。
税額そのものの計算や確定申告の流れは、別の解説と合わせて読むと全体像がつかめます。総平均法の取得費計算は、その全体の中の「土台」にあたる部分です。
仮想通貨取引の損益計算方法である移動平均法と総平均法とは
移動平均法と総平均法は、どちらも暗号資産の取得価額(取得費)を計算する方法で、違いは計算するタイミングです。

総平均法は1年分をまとめて1回計算。移動平均法は買うたびに計算し直します。出てくる売却原価が同じ年でもズレることがあるのは、この計算タイミングの違いが理由です。
| 項目 | 総平均法 | 移動平均法 |
|---|---|---|
| 計算するタイミング | 1年分をまとめて1回 | 購入のたびに計算し直す |
| 平均単価の出し方 | 購入金額合計÷購入数量合計 | その時点までの残高で再計算 |
| 計算の手間 | 少ない | 多い |
| 損益の見えやすさ | 年末にまとめて把握 | 取引ごとに把握しやすい |
| 届出がない場合 | これが自動適用 | 届出が必要 |
私の感覚では、取引回数が少ない人ほど総平均法のほうが圧倒的に楽です。買い増しが多い人は移動平均法のほうが実態に近い損益が見えますが、計算は確実に重くなります。
移動平均法と総平均法に関する注意点

一番の注意点は、計算方法を一度選ぶと原則3年間は変更できないことです。
届出を出さなければ総平均法になります。これは「楽だからお得」という話ではなく、自分で選ばなかった結果として総平均法になる、という点を理解しておきたいところです。
届出の提出期限は、翌年の確定申告期限まで。期限を過ぎると、その年は届出が間に合わず総平均法のまま、ということになります。
正直に言うと、私は取引回数が多くないので総平均法のままにしています。計算が楽で、国税庁の様式にそのまま乗せられるからです。買い増しが頻繁な人は、移動平均法を選ぶ価値があると考えます。
よくある質問
よくある質問
迷ったら、まず自分が届出を出したかどうかを確認してください。出していないなら総平均法です。次に国税庁の総平均法用の計算書を開いて、年間取引報告書の数字を写すところから始めるのが、いちばん確実な一歩です。
